【森からの便り】2013年 冬・春

林業の基本である「山を知る」ために踏査を進めています。森林調査・境界測量を行い、データをGIS(図面上に調査結果等のデータを反映させられるソフト)に落とし込むことで、所有山林のほぼ全域を把握出来てきました。専門家の指導のもと「山を見て材積を掴む」方法として、末口二乗法や細り表などを活用した材積算出法を習う勉強会も開催しました。
また、導入を検討している「架線集材」の試験運用を里山で実践しました。架線集材とは山にワイヤーを張って木を吊りあげて搬出する昭和初期に開発された集材方法のことです。吉野のような急峻な山は架線集材に適しており、高額なヘリコプター集材に変わり吉野林業を復活させる集材方法として検討を重ねています。
架線による集材が終了した里山の皆伐地では、奈良県森林技術センター指導の下、伐った木の切り株からどれだけの木の芽が生えてくるかの調査をしています(萌芽実験)。言うなれば、新しく生育してくる植物の種類や数を計測して、里山再生の道筋を組み立ててゆく実践調査です。
昆虫の専門家である伊藤ふくお氏の指導を受け、四季それぞれの昆虫の生態調査も進めています。秋を楽しむ昆虫や里山で越冬する昆虫、また夜に行動する昆虫を捕まえるトラップテストを春に実施しました。夏には夜にライトを点灯してそれに集まる昆虫を観察する企画を計画しています。
吉野林業地も王寺近郊の里山林も、作業道の作設や、木や竹の間伐などの持続可能な生産活動と併せて、調査やデータに基づいた学術的な活動も行っています。これら両方を並走させることが当社の良きところと自負しております。

 山の神

山の神 天川村の白倉山の麓にある山の神のおまつりをしました。酒やサカキ、米や塩、山の幸・海の幸をお供えし、山仕事の1年の無事を祈願しました。


 作業道開設踏査

作業道開設踏査 作業道作設前には何度も現地へ足を運び、山の状況を細部まで把握します。周囲環境の状況や土質、沢水の状況などからどのルートを選び、どのような作業道を作っていくかを決定していきます。


 境界測量

境界測量 電子コンパスを使って境界(所有森林の境)を測量します。先に進んだ人の持つ反射板のみを捉え、距離を計測できる便利な測量機材です。


 丸太組み用丸太

丸太組み用丸太
自然に調和し、壊れない奈良型作業道の特徴の1つに木組みがあります。木を組むことで1点に集中する力を分散し、道全体でトラックや重機の重みに耐えられるようになります。

 犬走り

犬走り 法面の最下部に木を組むことによって、土の移動を止め雑草や灌木の侵入により法面を安定しやすくします。法面の傾斜角度に合わせ、木組みを土に隠れるようにするのが木を腐りにくくするポイントです。



 グラップル・ウインチ集材

グラップル・ウインチ集材
間伐した木をグラップル(重機の先についたハサミのようなもの)やウインチ(ワイヤーを伸ばしたり縮めたりして木を集める集材装置)で作業道まで引き寄せて、造材(必要な長さに切ること)をします。


 架線集材

架線集材
キャレジ(走行したり材木を吊りあげたりする装置)が張り上げたワイヤーの上を前後に走行し、 ロージングブロック(キャレジ下についた滑車)を通る荷上げ索(材木を吊りあげるワイヤー)を上下し、材木を吊りあげ、運搬することが出来ます。

 製材品市場

製材品市場 木材市場で競り落とされた丸太は、製材所で柱や板など主として建築用材に製材され製材品市場に掛けられます。木材流通の追跡調査をしていると谷林業の刻印が入った柱を見つけることができました。




 講習

講習
ウッズマンワークショップから水野雅夫さんにお越しいただきました。現場技術者の伐倒に対する意識と技術の向上のための研修を楽しく、厳しく指導して頂きました。
林業用重機の運転に必要な車両系建設機械や不整地運搬車や、材木の搬出に必要な玉掛けなどの技能講習を受講しました。機械操作や安全管理の基礎を学びます。


 里山に道

里山に道1
場所は王寺町の隣の上牧町下牧です。道は吉野の森林につけた作業道と同じ規格で道幅2.5mとしました。



里山に道2
この道幅があると2トン積みのダンプカーや軽トラックが自由に走りまわることができ、パワーショベルなどの重機の搬入や伐採木をはこびだすことが容易になります。将来は散策路として役立つでしょう。



 植生テスト

植生テスト
奈良県森林技術センターが谷林業の里山で植生テストをしています。植生テストは、20mx20mの試験区を設けて皆伐し、その後にどのような木が生えてくるかを5年間に亘り調べてゆきます。皆伐地からは、地中に眠っていた種や鳥が運んできた種から芽が出てきたり、萌芽による新芽が育ち、新しい森に生まれ変わります。



 萌芽

萌芽 昨年伐採したコナラの切り株から新しい芽が出ました。萌芽(ボウガ)と言います。今クヌギ・ナラなどの広葉樹林はナラ枯れの被害を受けています。ナラ枯れはカシノナガキクイムシによるもので大径木に発生しやすいといわれています。 里山の手入れでは大径木の伐採も必要です。伐採された木は、自らの子孫を残そうとして萌芽をします。

 材積測定

材積測定
奈良県森林技術センターと協力して、皆伐地から搬出された丸太の材積の実測をしました。1本づつ直径と長さを測り体積を計算し集計しました。結果は20mx20mの試験区から約10㎡の材が搬出されました。この値は、技術センターが立木の状態で胸高直径と樹高から算出した値と近似していました。このような基礎的な試験結果も、これからの里山の運営管理に欠かせないデータとなるでしょう。

 竹林

竹林
竹は勢力が強く、手入れをしないと旧来の広葉樹、針葉樹の森は壊されてしまう為、伐採を行いました。竹を伐採しますと、すっきりと見通しがよくなり明るい竹林となりました。
伐採した竹は炭焼き窯で竹炭を作りました。竹炭は部屋や冷蔵庫の消臭剤として、また押し入れや、衣装箱の除湿剤として、或いは飲料水やご飯に入れたりインテリアに使うなど、幅広い用途があります。


 里山の生物観察

里山の生物観察1

王寺町の隣の上牧町に住まわれる昆虫学者の伊藤ふくお氏の指導で、陽楽の森の生物観察と調査を行っています。陽楽の森は王寺町と上牧町にまたがる丘陵地でクヌギ、コナラ、アベマキ、ナナミノキ、などの広葉樹、テーダマツやスギの植林、モウソウチクの竹林などで構成された里山です。チョウ、トンボ、バッタ、カマキリ、などなど数多くの昆虫が生息し、数々の野鳥が飛来するなど、生物多様性に富んだ里山です。


里山の生物観察2里山の生物観察3

観察会は平成24年10月に下見をし、11月に第1回、平成25年2月に第2回が行われました。11月の観察会では、野鳥、キノコ、昆虫、の各専門家がそれぞれの分野で観察された生物を記録しました。
2月の観察会は、越冬している昆虫を探し出すことです。切り倒された木の樹皮の下に眠っているもの、手でも崩せられるほど朽ちたコナラの幹を穿る、朽ちて土になる前の腐葉土を掘り起こす、切通しになった崖を掘る、など、次々と休眠している幼虫や成虫を見つけました。


里山の生物観察4里山の生物観察5

5月には昆虫のトラップテストが行われました。プラスティックのコップを、1m間隔で30個を3カ所、合計90個を地表近くに埋めて一晩放置し、トラップに捕えられた昆虫を調べました。いろいろな種類の幼虫や、アリ、ハエ、トビムシ、クモ、甲虫類、多足類など、多くの種類の昆虫を捕捉しました。捕捉した昆虫類は専門的に解析されます。
観察会の際に、日本野鳥の会奈良支部会員の方が飛来した野鳥を観測しました。キジバト、コゲラ、ビンズイ、ヒヨドリ、シロハラ、ウグイス、ヤマガラ、シジュウカラ、メジロ、スズメ、アオジ、ハシホソカラス、ハシブトカラスモズ、オオタカ、ハイタカ、チョウゲンボウ、などが飛来しました。


 森で遊ぶ

森で遊ぶ1
里山は自然がいっぱいの遊園地です。子供たちにとってはかっこうの遊びとなります。

森で遊ぶ2
枯葉と遊ぶ幼女は森の妖精さんのように見えます。




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