【森からの便り】2012年 夏・秋

<吉野の人工林> 
吉野の人工林では、一昨年より作業道開設を始めました。これは間引いた木(間伐木)を集め(集材)、必要な長さに切って(造材)、トラックが林内に入って運搬するためです。吉野林業地で作業道作設の先駆けである林業会社(清光林業株式会社 岡橋清元会長)の指導を受け、作業道の開設をしています。また、その波及効果も徐々に現れてきました。道が出来たことで人が森に入りやすい環境になり、初めて社内・社外向け現場見学会や大学生の体験学習を行いました。林業は単なる建築の為の素材生産だけの場ではありません。環境も経済も暮らしも教育も含め、総合的に取り組んでいける可能性が秘められているのです。わが社では今後も様々な人が「行きたいな」と思える、敷居が低く間口の広い伝統的林業地づくりに取り組んでいきます。興味を持たれましたら、ぜひ谷林業の森へお越しください。社員一同、皆さまのお越しをお待ちしております。

 作業道

ヒカゲノカズラ
作業道開設は念入りな下調べ(踏査)から始めます。ヒカゲノカズラ(写真)やアセビが生える箇所は地盤が固いと言われ、作業道を開設するのに好ましい環境です。



粗道開設
踏査したコースを油圧ショベルで掘り進めます。途中で不都合が出た際にでもルート変更が出来るようにするため、踏査箇所を先に伐採すること(先行伐採)は行いません。粗道が出来次第、仕上げ作業を行い、最後に砕いた岩片(バラス)を敷いて完成です。



完成した作業道
完成した作業道は森林に出来るだけ負荷をかけず、道幅を2.5メートル(最小限の重機やトラックが通れる幅)にしているのが特徴です。作業道を維持させるために考えなければいけないのが「水」。川の水や雨水とどのように付き合っていくか?そこに重点を置いて設計しています。



 伐採・搬出

スギの造林 大きな木を必要な長さに切る(造材)時はチェーンソーを持ち上げたり、縦に向けなければ切れません。その際に切り粉が吹上げ、造材者は切り粉のシャワーを浴びているような感じになります。

山で積み込み
造材した木材を運搬するためにグラップルでトラックに積み込みます。伐った木を集めたり(集材)トラックを進入させて運搬するために作業道が必要です。

市場でハイ積みされた丸太 刻印(赤印)を打って木材市場に並んだ丸太。ここで競りにかけられて製材所に買われていきます。青いチョークで書いた数字はこの木の直径(径級)です。建築用材・合板用材は?(立方メートル)単位、パルプ用材・バイオマス用材はt(トン)単位で取引されます。

 社員教育

社員教育
急傾斜地で刃が高速回転する危険な道具(チェーンソー)を使う訳ですから、使用には十分な教育が必要です。基本動作や安全確認などを教えられます。


 見学会&合宿

社内向け現場見学会
山林所有者や会社の経理職員、森林ボランティアを対象に社内現場見学会を行いました。現場を見ることで、連携を強め 更なる業務の発展を期待する取り組みです。

社外向け現場見学会
機械化が遅れている吉野林業に携わる方々に高性能林業機械を見ていただこうと社外見学会を行いました。メーカーよりハーベスタ(伐倒・造材できる重機)を借り、デモンストレーションを実施しました。一瞬にしてハーベスタがヒノキを伐倒する光景は圧巻です

大学の合宿
大学の合宿での1コマ。学生がプロの伐倒を真剣なまなざしで見ています。この後、ノコとヨキとロープを使って、林の木を間引く作業(間伐)を体験しました。

 山葵谷

山葵谷
所有林の下を流れる山葵谷(川上村伯母谷)は晴天続きでも安定した水量があり、水は透き通った色をしています。渓谷沿いには大きなトチノキもあり、古くから栃餅の原料に使われてきました。








<王寺町近郊の里山>
谷林業は吉野の山林と共に、奈良県北葛城郡王寺町の近郊で里山を管理しています。近年になって開発を進めてきた里山は、王寺町から上牧町にかけて広がる、通称「陽楽の森」と呼ばれる高低差100メートル程度の丘陵と、奈良県と大阪府の府県境にある「明神山」登山道に沿った雑木林を中心に、数か所に散在しています。「明神山」の登山道は整備が行き届き路面は舗装され、多くの人が朝に夕にウォーキングを楽しんでいます。谷林業は登山道の途中に管理地があり、森林浴を楽しめる憩いの場を提供しています。「陽楽の森」は元々薪炭林でしたが、経済の発展と共に化石原料が熱源・光源の供給を担い、かつ利用の簡便さから生活様式が全く変わるとともに、里道は笹に覆われ閉ざされてしまいました。「陽楽の森」に道を付け人が入りだしたのは5年ほど前からで、多くの人たちの協力で森林整備が進み、集いの広場も完成しました。森の幼稚園の幼児たちが森で遊び、バザールを開催し、ピザ窯でピザを焼き、炭焼き窯から収穫した炭でバーベキューを楽しむなど、人が気軽に散策し安らぎを与える森林を作りました森林の整備と共に自然の保護にも配慮しています。具体的には、昆虫写真家伊藤ふくおさんの指導で生物観察会を開催し、生物多様性を保った森林づくりを研究しています。また、ナラ枯れの要因となっている老齢化したコナラを伐採し萌芽更新や苗の植林で森を若返らせる努力も続けています。「陽楽の森」の最寄駅である王寺駅は、天王寺駅からJRで20分、JR奈良から15分の都市近郊にあります。将来はこの森の中に、森の幼稚園をより充実し、また、高齢者が野菜栽培や花卉栽培を楽しめる施設を作るなど、多数多様な人々が楽しめるやさしい森づくりをする計画でいます。

 里山整備

陽楽の里山は長い間人のてが入りませんでした。このため山は笹に覆われ、竹林が侵出し、人を寄せ付けない森となってしまいました。竹は繁殖力が非常に強く、スギ、ヒノキの人工林を駆逐する勢いで成長しています。行政も補助金を出し竹林の除去を推奨しています。まず障害となる木を伐倒し、竹林を切り開き、笹を刈って道を付け、人が歩き散策を楽しめる里山に整備してゆく作業をしています。
荒れた里山荒れた里山



里山の道

整備された道は下の写真のように人々が歩きやすく快適に里山を散策できます。



 イベント

イベント1 陽楽の森で毎年春と秋にイベントを開催しています。アクセサリーを売る小さなお店や、パン、コーヒーなどの食べ物を売るお店が並びにぎわいます。谷林業も石窯で焼いたピザ、手作りジビエ料理のシカカレーを売る店を出しました。いずれもおいしくなかなか好評でした。


イベント2
沢山の子供たちも参加してくれました。森づくりは未来につながります。

 薪づくり

全国的に雑木林ではクヌギやコナラが老齢化し、ナラ枯れなどの問題を引きおこしています。人間社会と同様に老齢化による弊害が発生しているのです。それで老齢化した木を伐倒し萌芽再生や植樹による森の若返りを図っています。伐倒した木から薪ストーブなどの燃料となる薪を作る作業をしました。

薪づくり1
手順としては、老齢木を伐り、長さ40㎝に小切ります。その後枝・葉を落として、薪割土場に運び、薪を作ります。伐倒・玉切り作業には、木を倒し玉切りを森の仕事人、枝を落とし小切りするボランティアの人たち、そしてお手伝いをする子供たちと、たくさんの人が参加しました。

薪づくり2
左の写真は伐倒した木の枝・葉を落とし、キノコのホダ木や薪にしているところです。


薪づくり3
玉切りした丸太を割って、薪を作っています。出来上がった薪は積みあげて干します。数か月から半年かけると含水率が15%以下となり、乾いたよく燃える薪が出来上がります。

 炭焼き

炭焼き1 陽楽の森の中に炭焼き窯を作りました。周辺に生えているコナラ、クヌギ、カシなどが原料です。火力が強く火持ちが良く、良い出来映えでした。




炭焼き2
炭の収穫です。こうした副産物を活動の資金源にしたいものです。



 生き物

生き物
陽楽の里山でカメを見つけました。小川の無い里山で予想できなかった生物を見つけたことは驚きでした。小さなため池がありますのでそこから散歩に出かけたのでしょう。




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