一般社団法人フォレストック協会

認定森林

藤田観光(株)畝畑山林

新しい「自然創生」をめざす 藤田・畝畑の森

森林の概要

森林所在地
和歌山県新宮市熊野川町
森林所有者
藤田観光株式会社
認定対象面積
691.44ha

沿革

藤田観光株式会社社有林が位置する和歌山県熊野川流域は、穿入蛇行を繰り返す河川によって洗掘された急峻な山体である。この紀伊半島特有の地形条件下にありながら当地域も古来より林業の盛んな地域として知られ、当地域を含む和歌山県東南部の紀南流域東地区は総土地面積の90%を山林が占める。その内訳は民有林96千ha、国有林6千haで民有林が森林面積の93%とほとんどを占めている。かつては、流域で切り出されたスギ・ヒノキなどの木材は筏に組まれ、各支川から熊野川本川を下って河口の新宮市に集積されていた。また、ウバメガシ等常緑カシ類を使った炭も三反帆と呼ばれる船に積まれ、これも新宮に集積されており、新宮に集められたこれらの木材や炭はさらに舟運によって全国に供給されていた。また、昔から熊野詣で有名な当地域は、平成16 年に「紀伊山地の霊場と参詣道」が世界遺産に登録され、観光の名所として多くの訪問者を集めている。

このような地域にある藤田観光株式会社社有林は、元々は藤田男爵が明治時代より所有していた山林である。藤田男爵が所有して後、同和鉱業(前身は藤田男爵が創業した藤田組)へ所有が移り、昭和35年に藤田観光株式会社が同和鉱業から譲り受けた。現在の面積は約690haである。譲り受けた当初は、高齢のスギ林、ヒノキ林であったとのことであるが、その後数年間にわたって伐採、売却された。しかし、社有林のほとんどが水源涵養保安林に指定されていることから、伐採後速やかに植林を行い、森林を造成してきた。つまり、藤田観光株式会社では、この法規制を遵守するため、昭和36年より50年にかけて、スギ、ヒノキの植林を手がけ、下刈り、枝打ち、保育間伐等の施業管理を行ってきた。 その後も施業計画を修正しながら、現在も木材生産と森林環境保全のためのスギ林・ヒノキ林、その他雑木林の施業および管理を行っている。

森林・管理等の概要

藤田観光(株)は熊野川森林組合と管理委託契約を締結しており、熊野川森林組合が森林経営計画(属地計画)を作成し、社有林管理・施業および行政手続き等を行っている。社有林の存する地域に居住する林業家を、連結子会社である藤田観光工営㈱の契約社員としておき、巡視等の日常的な管理等を委託している。対象面積691.44haのうち、スギやヒノキの人工林が332.90ha(48%)、天然林は358.54ha(52%)であり、その比率は半々で我が国の平均的な人工林率(約40%)を上回る。一方で、天然林が52%占めていることは、人工林林業地帯にあっては高い割合であると言える。人工林のうち樹種別面積は、スギが190.56haで57%、ヒノキが142.34haで43%とスギがやや多いものの同程度の割合である。天然林も約85%が9齢級と突出している。天然林の多くは薪炭用に周期的な伐採が繰り返されて成立した広葉樹の二次林であり、それが放置され40~45年生の過熟広葉樹林となっている。つまり、当地域は古くから炭の生産地として知られた地域であり、およそ40~50年ほど前まで薪炭林として利用されていたと考えられる。齢級構成としては非常に偏りのある配置であるが、人工林・天然林が混じり合い、広葉樹林が半分を占めるモザイク状の景観は多様で、生態的にも優れている。

CO2吸収量クレジットの算定量

概要説明

CO2 吸収量の算定においては、人工林は332.90haと、天然林358.54haである認定対象面積691.44haを対象とした。幹材積成長量は全調査地点の森林資源調査等から判断し、和歌山県農林部林政課作成の「人工林林分収穫予想表(昭和58年5月)」より、スギは地位級3(5,000本植栽)、ヒノキは地位級3(5,000本植栽)と判定され、ha当たり材積から5年間の定期平均成長量を計算し、面積を乗じて算出した。広葉樹天然林においても同様の収穫予想表を用いて、人工林と同様に算出した。なお、当該収穫予想表では広葉樹天然林の地位級は設定されていない。拡大係数は人工林スギ、ヒノキには、それぞれスギ、ヒノキを、広葉樹林はカシの拡大係数を用いた。

生物多様性の評価

概要説明

齢級構成には偏りがあるが、人工林・天然林が面積的に半々の割合で存在している。天然林は、植栽による人工林化が困難な急傾斜地や尾根沿いに広がっており、コジイ、スダジイ、アカガシ、ツクバネガシ、ウラジロガシ、ウバメガシなどの常緑広葉樹が優占し、ヤマザクラ、アカシデなどの落葉樹が混生している。また、沢や渓流がいくつかあり渓畔林も美しい。このように広葉樹林の配置が随所にあり、景観的に優れるとともに、生物多様性の維持にも繋がっている。渓流沿いの広葉樹は良く発達し、林冠が渓流の上空を覆っている。これにより、気温の高い夏季でも渓流内の微気候を調整し、また夏季の餌料生物である昆虫類を供給する役割も果たし、魚類等水生生物にとって安定した生育環境を形成している。天然林が広く分布し、人工林内も階層構造が発達し、植生が繁茂しているなど、生物の生育に適していると言え、鳥類にとっても好適環境となっている。国立公園や国定公園など自然公園法には該当しないが、森林法の保安林(水源涵養保安林)に全域が指定されており、その規定を順守している。希少生物の保護に限らず、森林管理を通じて森林生態系を保全していく意識が高い。

写真・地図

人工林、天然林がモザイク状に配置され、景観的にも多様な森林。
人工林、天然林がモザイク状に配置され、景観的にも多様な森林。
泥岩と砂岩の互層構造。動植物のほか、地質の観察など自然環境教育の場として利用できる。
泥岩と砂岩の互層構造。動植物のほか、地質の観察など自然環境教育の場として利用できる。
森林内を流れる渓流。渓畔林も発達している。
森林内を流れる渓流。渓畔林も発達している。
渓畔のツツジ(サツキ)の一種。渓流景観を代表する植物種である。
渓畔のツツジ(サツキ)の一種。渓流景観を代表する植物種である。
林縁の木は下まで枝葉が着き、また広葉樹が繁り、林縁は閉じている。
林縁の木は下まで枝葉が着き、また広葉樹が繁り、林縁は閉じている。
ヒノキ林の樹冠は閉じやすい。
ヒノキ林の樹冠は閉じやすい。
カモシカと遭遇。
カモシカと遭遇。
降雨時に路面に流れ出た水によって洗堀されない「拡水工法」という工法が用いられている。
降雨時に路面に流れ出た水によって洗堀されない「拡水工法」という工法が用いられている。
2010年度より開設している作業道は、高密度に配置している。
2010年度より開設している作業道は、高密度に配置している。

森林位置図

認定期間

2013.12.20 ~ 2018.12.19

フォレストック認定取得関連資料

2012/11/13
藤田観光株式会社森林CO2 吸収・生物多様性調査報告書
2013/12/6
「森林のCO2吸収量と生物多様性レベルの認定」にかかる調査報告書の算定・評価結果に関する審査報告書
2014/12/22
定時モニタリング報告書
2015/12/4
定時モニタリング報告書
2016/12/6
定時モニタリング報告書

認定取得者の公開情報

藤田観光ホームページ